Itazu Litho-Grafik

リトグラフ制作工程 3
製版 1 etch

機材&材料版の準備と描画・製版1 (etch)・製版2 (ラッカー)製版3(製版インク)刷り


ラズン(石版のみ)▼
タルク▼
アラビアゴム▼
エッチ液▼
拭き取り▼

版に描画を終え、必要な材料・機材がそろいました。いよいよリトグラフ制作において一番重要な工程に来ました。アラビアゴムと酸を反応させインクの付く部分とインクをはじく部分を作る作業です。

アラビアゴムエッチ(etch)液を用いることで版上に親油性の部分(描いた絵)と親水性の部分(描かれていない部分)に分けるための化学変化を促す。(銅版画においてエッチとは銅版を酸に浸け腐食させるという意味だが、リトグラフでは版の表面に化学変化をもたらすという意味で使われます。)

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製 版

これが絵の描かれていな状態のアルミ版です。石版石の表面と同じような状態にするため目立て研摩してあり、無数の細かい突起が並んでいてサンドペーパー#240くらいのざらつきがあるのが分ります。この状態はとても油性分に敏感で、指先のわずかな油分も反応するので要注意。

<絵を描く前のアルミ版・断面図>

次にクレヨンで絵を描いた時のアルミ版の断面。アルミ版の表面がクレヨンの油性分に濃い部分は強く、淡い部分は弱く反応しています。実際には版が油性分に反応するのは目立て研摩された突起の表面なので、図のように版の内部まで反応することはありません。

<イメージを描き終わったアルミ版>

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石版の場合

ラズン:
イメージ上にラズン(松ヤニ粉末)をかけ,イメージ全体に塗布。余分なラズンはブラシで取り除く。石版ではこの後、酸としては強め(ph1~3)の硝酸を使用するため耐酸性の強いラズンで淡く描いたクレヨン調子を酸から保護する。
(アルミ版では比較的マイルドなリン酸を使用するため不要)


4)タルク:
リトグラフの描画材料は油性分を含んでいるため、アラビアゴム液を簡単にはじいてしまう。そこでアラビアゴム液を版上に均一に行き渡るようにまずタルクを版上にふりかけます。また、寒冷紗で拭き取る際に柔らかいクレヨンも拭き取られるのを防ぐ。ストンパウダー、ベビーパウダーも使用可。


次に脱脂綿を使いタルクを版全体に行き渡らせます。版上にはクレヨンの小さな固まりが定着しないまま残っていますが、力を入れ過ぎてこの固まりを版上で引きずらないよう注意。
余分なタルクとクレヨンの固まりはブラシで取り除く。


<タルクを塗布したアルミ版>


5)アラビアゴム:
アラビアゴム(アカシヤの木から採れる樹脂)は、リトグラフではとても重要な役割をします。

固形アラビアゴムを水で溶き、ある一定の濃度にして使います。当工房では500ccの水に150gの固形アラビアゴムを溶かし、布で濾した状態で使っています。夏は腐り易いので冷蔵庫で保管し、また冷蔵も可。市販のアラビアゴムは防腐剤が添加されていて、濃さも適度に調整されているので使い易いです。
まず、アラビアゴム液をイメージの無い場所に垂らす。


アラビアゴム液をアラビアゴム専用スポンジで版全体に行き渡るようにする。クレヨンイメージを傷つけないよう軽く全体をマッサージ。


<アラビアゴムを塗ったアルミ版>


6)エッチ(etch):
アルミ版の場合、りん酸を加えたアラビアゴム溶液(ph2.0-3.0)を使うことによって、このエッチ液がクレヨンの脂肪分に反応し脂肪酸をつくり、アルミ版の表面に定着する。油性分の多い部分は酸度を強く、軽く描いてある部分は酸度の弱いエッチ液を使う。
絵の描いてない部分は、エッチ液を塗るとアラビアゴム被膜がさらに強固なものになる。(ph3.0のエッチ液で最強のアラビアゴム被膜がつくられる。)

強エッチ液:ph2.0-2.3
中エッチ液:ph2.4-2.6
弱エッチ液:ph2.7-3.0

スポンジを使い版全体にアラビアゴム+エッチ液を均一にのばす。部屋が乾燥しているとアラビアゴムののびが悪くなるので素早くのばしてください。

phの測定は、ADVANTEC 社のph測定紙 (TB: ph1.4-3.0) が便利です。


<アラビアゴム+リン酸を塗ったアルミ版>

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石版の場合

エッチ(etch):
硝酸を加えたアラビアゴム溶液(ph1.2-3.0)を使うことによって、版と油性部分の反応を促し脂肪酸をつくり、さらに炭酸カルシウムと反応し脂肪酸カルシウムとなる。酸度が増したアラビアゴムは石版の表面にアラビアゴム被膜をつくる。油性分の多い部分は酸度を強く、軽く描いてある部分は酸度の弱いエッチ液を使う。酸度の強いエッチ液を薄く描いたデリケートな部分に使うと、酸で消されることがあります。

強エッチ液:ph1.2-1.8
中エッチ液:ph1.8-2.2
弱エッチ液:ph2.2-3.0

注)エッチ液を舐めて、その酸度を確かめる方法があると聞いたことがありますが、長く続けると歯を溶かしてしまう恐れがありますのでくれぐれも注意してください。お勧めできませんが、、。ph 測定紙を使いましょう。


7)拭き取り:
寒冷紗でアラビアゴムを均一に拭き取る。拭きムラがあるとそのまま製版されてしまうので絵の部分は特に気をつけて拭く。
ドライヤーを使って版を乾かす。


<アラビアゴム+リン酸を拭き取ったアルミ版>

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タルクをかけて、アラビアゴムとエッチ液を塗って、拭き取っただけですが、版はしっかりと反応しています。
休憩の時間です。

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